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『褐色の土鍋パワー』～香川・高松市～

【わしょく家　二蝶】

今回久し振りに正統派の美味しいご飯との出会いに血が騒いだ。最近特にコメにこだわりを持つ店が全国で増えてきている。非常に喜ばしいことである。しかしそのこだわりのコメが本当に最大限生かされた状態で美味しく食べられる店というのは意外に少ないような気がする。土鍋で炊いたご飯を久し振りに食べ、軽い興奮状態で今回のコラムを書いている。

「二蝶」と言えば創業56年になる高松の老舗料亭。その「二蝶」のカジュアル店としてオープンしたのが「わしょく家　二蝶」である。場所は最近外食産業の出店の多いレインボー通り。正確には通り沿いのローソンの角を東に少し入った閑静な住宅街の中にある。外観は黒一色の長細い造りで一見なんの店なのかと驚かされる。中は、割烹スタイルで一人からでも食べられるカウンター席が約8席。カップルが静かに食べる二人用の仕切られた席が5席。グループ席が6席、イス席と和室と両方ある。宴会用の団体席が一番奥にあるというように、それぞれの客の目的に合わせた席が用意されている。

グループ席に着くことになり、おまかせ料理の「よろこび」3,800円のコースを注文する。先付けから始まり、小鍋（讃岐コーチンのつくね団子や飛竜頭や松茸の入った鍋：絶品）、焼き物に焚き合せ（海老芋の中に小さい角煮が入った饅頭と蓮根を素揚げしたせんべい等）、酢の物に土鍋炊きのご飯と漬物、田舎味噌仕立ての味噌汁。そしてフルーツ。3,800円でこれだけ食べられるとは予想以上に満足のいく内容。ボリュームも自分を基準に考えるとどうしてもちょっと物足りないことが多いのだが、今回は本当にホリューム感にも満足する。

ちょっと贅沢な料理を味わい、満足した最後、美味しいご飯で〆る。まさに至福の時である。土鍋が炊き立ての状態で目の前に現れる。褐色の土鍋は伊賀焼きのご飯炊き専用の重厚な土鍋である。

外ぶたの中にもう一つ重たい中ぶたがあり、それを取ると、美しく輝くご飯がカニ穴を作り、ピンとたった状態で待っていた。見た目の美しさに期待感は一層高まる。

店員の方が目の前でシャリ切りをして十分にご飯をほぐした後、最初の一杯目は見た目もきれいに装ってくれる。底の部分にはうっすらおこげが出来ている。

十分に噛み締めながら一杯目はご飯のみで食べる。最初の一杯目は特に香りの良さに驚かされる。コメ本来の香りがまず鼻をスーと抜けあとから甘みがじわじわ出でくる。「うまいわぁ～！！」食感は少しあっさり目といった感じだろうか。どちらかというと少し粘りの強いコメが最近のわたくしの好みではある。しかし全ての料理を食べたあとの、〆の一杯として食べるご飯はこのぐらいが丁度良いのだろう。〆の一杯と言いながら当然お代わりをし、漬物と味噌汁で本当の〆の一杯を平らげる。

料理長にコメについて聞いてみた。「コシヒカリでは最後の〆としてはちょっと重たすぎるのでうちはヒノヒカリを使ってるんです。土鍋の中ぶたが丁度圧力蓋の役目をして普通の炊飯器より釜の中の対流が良くなるみたいです。火加減については試行錯誤でまだまだ完全とはいえませんが、気をつかいますわ。」「多少料理が悪くても最後のご飯がうまかったらなんとなく許されますよね。」とテレながら答えてくれた。しかし反対に言うとどんなに美味しい料理を食べても最後の〆のご飯がまずいとなんか前の料理まで良い印象が無くなってしまうということを真剣に考えているのだと思った。

自分用に家でも一個買おうかな（ご飯炊き用の土鍋）！！　　　

食堂メモ

店名	わしょく家　二蝶
住所	高松市多肥下町846番地
休み	毎週日曜日
TEL	087-815-0577
営業時間	AM11：30～PM03：00 PM05：00～PM11：00

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『褐色の土鍋パワー』～香川・高松市～

【わしょく家 二蝶】

食堂メモ

【わしょく家　二蝶】